Japanische Klassiker mit Furigana
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ちごがふち
稚子ヶ淵
小川 未明
Lesen Sie 稚子ヶ淵 (ちごがふち) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.097 Zeichen · 8 Bildschirme
たとえ覚えはあったにしても、夜のことで、とても小道を探し出すことは出来なかった。
帰ろうと思っても、帰ることが出来ず、家では親達が心配しているだろうと思うと一刻も茫然してはいられず、だんだん心細くなって来て泣き出した。……ややしばらくして泣き止んで切り捨ててあった、青々とした柴の上に腰を下して、空の星をさびしげに眺めていた。
すると何処ともなく天外になつかしい声が聞えて、さわさわと木の葉が揺れるかと思うと、日頃恋い慕っていた姉が、繁みの裡から出てきたのである。
「姉さん!」
と、余りの嬉しさに一声叫んで飛び付いた。……しかし死んだ人がどうして来たろうと思うと空怖ろしいような、物凄い気持がしたけれど、見れば見る程まさしく自分の姉であり、而して今自分の心細く思っている矢先であったから、そんなことを考える間がなかった。
「姉さん、姉さん! 僕は嬉しかった。」
姉は物も言わんで、微笑んで、彼のうるんだ愛の籠る眸で、二郎を打眺めている。二郎は姉の袂にしかと縋り付いたまま、もうもう決して決して、放さないと決心したのである。
「さあ、二郎ちゃん行こう。妾が道を案内して上るから、いつかは、日常妾の帰りが遅いと迎いに来てお呉だったのね、今日は妾が途を教えて上げよう。