Japanische Klassiker mit Furigana
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いのうはりまのかみ
稲生播磨守
林 不忘
Lesen Sie 稲生播磨守 (いのうはりまのかみ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.172 Zeichen · 29 Bildschirme
矢沢 他藩の高名なる大先生なるぞ。取り逆上せるな、郁之進! 言葉を謹しめっ!
奎堂 (郁之進へ)いや、ごもっとも。あなたよりも、私が否定したいのです。鑑識ちがいではないか、どうかそうあってくれればよいがと、御覧のとおり、何度見直したか知れぬ。が、見れば見るほど――さよう、明鏡のごとき観相の表を私情で曇らし、白を黒と言うことは、刀相に生くる拙者にはでき申さぬ! この多門三郎景光には、たしかに君を害し奉る相がある。うむ、秘かに殿に害心を抱く刀と観た。
播磨 なに、余に対して害心とな――?
郁之進 (おろおろして)あまりと言えば、あまりな! (播磨へ)殿! 御座興の一端と、お聞き流しを願いまする。奎堂先生はわたくしに、いかなるお怨みがあって、かような――。
奎堂 私心はござらぬ。刀相に現れしところを、そのまま申し述べたまで。
郁之進 いいや! お眼の誤ちでございます。この刀は、祖父から伝来のもので、父臨終のきわにこれを汝に譲るぞ、この刀をば父と思って殿に忠勤を励めと、くれぐれも申し聞けられました景光にござります。(泣く。涙の眼で奎堂を白眼む)しかるにこれを指して、口にするだも恐しい、君のお命を縮めまいらす刀相などとは――。