Japanische Klassiker mit Furigana
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くうをとぶパラソル
空を飛ぶパラソル
夢野 久作
Lesen Sie 空を飛ぶパラソル (くうをとぶパラソル) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.190 Zeichen · 40 Bildschirme
来たので、脛に傷持つ私はちょっとドキンとさせられた。
大塚警部は私よりも十五六ぐらい年上で、二三度一緒に飲みに行ってからというもの、同輩みたように交際っている。かなり狡いところのある男であるが、殆んど空っぽになっている電車の片隅に、私の姿を発見すると、ビックリした表情をしながら、ツカツカと私の横に来て、二十貫目あるという大きな図体をドタリと卸した。それからサアベルを股倉に挟んで、帽子を阿弥陀にして赤ッ面の汗を拭き拭き、頗る緊張した表情で、内ポケットから新聞を引き出すと、無言のまま、私の鼻の先に突きつけた。見ると私が書いた昨日の夕刊記事の全部に、毒々しい赤線が引いてある。
私はわざとニッコリしてうなずいた。その私の顔を大塚警部はニガリ切って白眼み据えた。
「困るじゃないか……こんな事をしちゃ……僕等を出し抜いて……」
「フフン、何もしやしない。工学部の正門を這入ろうとしたら、鉄道線路の上に真黒な人ダカリがしていた。行って見たらこの轢死だった……というだけの事さ……」
「女の身元はどうして洗った」
「屍体の左手の中指の先にヨディムチンキが塗ってあった。別段腫れても、傷ついてもいないところを見ると、刺か何かを抜いたアトを消毒したものらしいが、ヨディムチンキをそんな風に使う女なら、差し詰め医師の家族か、看護婦だろう」