Japanische Klassiker mit Furigana
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くうをとぶパラソル
空を飛ぶパラソル
夢野 久作
Lesen Sie 空を飛ぶパラソル (くうをとぶパラソル) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.190 Zeichen · 40 Bildschirme
もうここまで進んでいたのか……と思い思い今度は下駄を裏返してみると、まだ卸し立てのホヤホヤで、福岡市大浜竪町金佐商店という商標が貼ってあって、踵の処に※と刻印が打ち込んである。次にビーズ入りのバッグを開いてみると、新しいハンカチが二枚と、六円二十何銭入りの蟇口と、すこしばかりの化粧道具を入れた底の方から、柳川ヨシエという名宛の質札が二枚出た。お召のコートと、羽織と、瓦斯の矢絣の単衣物と、女持のプラチナの腕時計の四点を、合計十八円也で、昨日と、一昨日の二日にわけて、筥崎馬出の三桝質店に入れたものである。
私は又も、その質札をポケットに突込みながら、二度目の凱歌を揚げた。……これだけのタネを握り込んで、三段や四段の特別記事が書けなければ、俺は新聞記者じゃない……むろん警察や、同業の奴等は指一本だって指せやしないだろう……占めたナ……と奥歯を噛み締めながらも、何喰わぬ顔を上げて、そこいらを見まわした。
私の周囲には二三人の田植連が、魘えた顔をして立っているきりである。一気に筥崎駅へ駈け込んだ列車の窓からは、旅客の顔が鈴生りに突き出ていて、そこから飛び降りた二三人の制服制帽が、線路づたいに走って来るのが見える。