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Japanische Klassiker mit Furigana

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くうちゅうせいふく

空中征服

賀川 豊彦

Lesen Sie 空中征服 (くうちゅうせいふく) von 賀川 豊彦 (かがわとよひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.687 Zeichen · 215 Bildschirme

Aozora Bunko

わしの親類の蝸牛の、あの角の上に一平方ミリメートルにも足らぬ空間があるのじゃが、その所有権を主張して、毎日、毎日、ああやって騒動をしているのじゃ。雨が降ろうが、風が吹こうが角上の闘争は年中のことじゃ。わしらはあまり珍らしくないので、気にも止めないが、初めて来たものには珍らしかろう」

市長もまったく驚いてしまった。蝸牛角上の争いということは昔から聞いていたが、小川の底から見ると、それが現実に見えるのである。

「人間はあれだから、困るのだ! あんなことをしていて人類進化など言って叫ぶものがあるから、おまえらの仲間の哲学者はよほど低能じゃなア! 近頃階級闘争を頻って叫ぶ唯物主義の哲学者が多いようだが、それらも蝸牛角上の争闘論者なんだろうなア? 困ったことじゃ」

そこへめだかの一群が菱の葉蔭から出て来た。

「またやっていますなア」

「今日は、天気がよいですからな、朝からやっています」

田螺がそう答えた。

「よくもあんなに根気の続いたものですな」

「あれは生れつきでしょうな、……よく殺人狂というのがありますが、人間はどうしても殺人狂の血が多量に混っているようですよ」