Japanische Klassiker mit Furigana
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くうちゅうひょうりゅういっしゅうかん
空中漂流一週間
海野 十三
Lesen Sie 空中漂流一週間 (くうちゅうひょうりゅういっしゅうかん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.324 Zeichen · 35 Bildschirme
やがて午前三時をすこし廻って、月が出た。それから一時間半ほどたつと、東の天が白くなった。
前夜以来、しきりに呼びつづけていた××陣地からの無電が、急に小さな音響になってしまった。そして間もなく、なんにも聞えなくなった。
それっきり救援の飛行機も、こっちへ追駈けてこなくなった。
ただ涯しなく拡がった雲海のうえを、気球は風のまにまに漂流しつづけるのであった。その外に、生物の影は、なに一つとしてうつらぬ。このひろびろとした雲海は、天国へ到る道であるのかもしれない。二つの屍を埋めるのは、どの雲のあたりであろうかなどと、「火の玉」少尉もあまりの荒涼たる天上の風景に、しばし感傷の中におちこんだのであった。
鋭い牙
「ねえ、六条。気球が上昇をストップしたようだぞ」
寒そうに身体を叩いていたキンチャコフが、送信器の解体に夢中になっている六条にいった。
「ふん、なんだか動きもしなくなったようではないか」
六条が相槌をうった。高度計を見ると、実に八千メートルの高空だ。いくら夏でも、これは寒いはずだ。
気球は、ぴーんと膨れきっている。
「これじゃ天井にくっついた風船みたいで、一向面白くない」