Japanische Klassiker mit Furigana
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あきや
空家
宮崎 湖処子
Lesen Sie 空家 (あきや) von 宮崎 湖処子 (みやざきこしょし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.554 Zeichen · 30 Bildschirme
傍に立ちしものは皆手伝えり、ただ佐太郎のみ佇みたるまま手をも挙げざりき、やがて群集はおのおのその伴を呼びつつ罵り帰り、時々振り回りて佐太郎を見やれり、佐太郎は人影の遠ざかるを待ち、ツト戸の内に駈けこまんとしては身を返し、再び入らんとして再び入らず、ひそかに戸のうちを窺い、その両親のヒッそりとせし闇の中に咽べるを聞き、ついに得入らずしてひき返せり、
彼は影のごとくわが家に帰り、行燈を点してその前に太息つきぬ、「何ゆえ死にしか和主がほかに知る人なし」「憐れ憐れ誰が殺せしぞ」「伯父よ佐太郎主が縊り殺せしとか」ああ怨めしき阿園、情なきことせしものぞ、かくなることとは露知らざりしも、かくなる上はわれが殺せしと言わるるとも言い開くべきようなし、悲しいかなやんぬるかなと、彼は怨めしげに自身の手足を視回しては太息し、愛憎なげに己が影を眺めては太息せり、彼はなお幾たびか阿園の両親に懺悔せんと思い、また阿園のごとく死なんとまで思うこともしばしばなりき、しかして彼はつらつら思い回わせり、「もし懺悔せんとせばげに懺悔すべき罪あり、もし死なんとせばげに死すべき罪すらなきにあらず」