Japanische Klassiker mit Furigana
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あきや
空家
宮崎 湖処子
Lesen Sie 空家 (あきや) von 宮崎 湖処子 (みやざきこしょし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.554 Zeichen · 30 Bildschirme
墓場にさしかかれり、彼がまさに行き過ぎんとするや否、路傍に差し出でたる二個の新墓、忽然として動ぎ出て石の下より一声「待て」と呼ぶや否、両頭の大蛇首を挙げて追い来たれり、彼は飛ぶごとくして遁げ走りたるも、足はただ同じ地のみを踏める間に大蛇はすでに寸後にせまり、電火のごとき二条の舌ズッと彼が頸を嘗めたり、彼はみずから驚く声に目覚めたるが、峰の嵐の戸を敲く声は地獄よりの使者の来たれるかとも思われたり、
彼はもはや眠るあたわず、起き直りて夜の明くるを待てり、夜はやがて明け初め、怨夢はすでに去ったるも、怨夢の去りしの孔より世界は白き視線を投げて彼が顔をさし窺けり、力なげに戸をあくれば、天は大いなる空を開きて未明より罪人を捜しおり、秋の日は赫々たる眼光を放ちて不義者の心を射透せるなり、彼は今日も鎖じ籠りて炉の傍に坐し、終日飯も食わずただ息つきてのみ生きておれり、命をかけて得たりし五十金、いずこに蔵めてあるかその員に不足を生ぜざるか改めて見んともせず、ひたすらにまた日暮を待ちたり、日はやがて暮れたり、
彼はあたかも遠征を思い立ちし最初の日の夕のごとく圃の人の帰るを測りて表の戸より立ち出でたり、彼が推測は謬らず、圃の人は皆帰り尽し、鳥さえ塒に還りてありし、彼は前夜の夢路をたどるもののごとく心細く歩きたるが、早