Japanische Klassiker mit Furigana
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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
Lesen Sie 空襲葬送曲 (くうしゅうそうそうきょく) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 95.012 Zeichen · 189 Bildschirme
市川とか、桐生とか、前橋とかいう小さい町までもが、苦しい町費をさいて、一と通りは、防空演習をやっているのに、大東京という帝都が、纏った防空演習を、唯の一度もやっていなかったということは、何という遺憾、何という恥辱だったでしょう」
「貴君の云うとおりだ。もしも、帝都として防空演習を充分にやって置いたら、昨夜のような空襲をうけても、あれほどの大事にはならなかったろう。火災も、もっと少かったろう。徒に、圧し合いへし合い、郊外へ逃げ出すこともなかったろうから、人命の犠牲も、ずっと少かったろう。流言蜚語に迷わされて浅間しい行動をする人も、真逆、あれほど多くはなかったろう」
湯河原中佐と、塩原参謀は、偵察機上から、思わず悲憤の泪を流したことだった。
「浅草の上空です」浅川曹長が、伝声管から注意した。
「うん、浅川曹長。お前の家は、浅草にあると云ったな」中佐が、不図気がついて云った。
「そうであります」曹長の声は、すこし慄えを帯びていた。「雷門附近の、花川戸というところであります」
「どうだ、お前の家の辺は、見えるかね」
中佐は、胸にかけていたプリズム双眼鏡を外して、曹長の方へ、さし出した。