Japanische Klassiker mit Furigana
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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
Lesen Sie 空襲葬送曲 (くうしゅうそうそうきょく) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 95.012 Zeichen · 189 Bildschirme
「五分間十銭」の木札をぶらさげた貸し望遠鏡には、いつもなら東京見物の衆が、おかしな腰付で噛りついていた筈だった。しかし、今日ばかりは、そんな長閑な光景は見えず、貸し望遠鏡はどこかへ姿を隠し、その位置には代りあって、精巧を誇る測高器と対空射撃算定器とが、がっしりした三脚の上に支えられ、それからやや距ったところには、巨大な高射砲が金網を被り、夕暗が次第に濃くなってくる帝都の空の一角を睨んでいた。
「少尉殿」突然叫んだのは算定器の照準手である飯坂上等兵だった。
「友軍の機影観測が困難になりましたッ」
「うむ」
高射砲隊長の東山少尉は、頤紐のかかった面をあげて、丁度その時刻、帝都防護飛行隊が巡邏している筈の品川上空を注視したが、その方向には、いたずらに霧とも煙ともわからないものが濃く垂れ籠めていて、無論飛行機は見えなかった。
「それでは、観測やめィ」
照準手と、測合手とは、対眼鏡から、始めて眼を離した。網膜の底には、赤く〇と書かれた目盛が、いつまでも消えなかった。少尉はスタスタと、社殿の脇へ入って行った。その背後に大喇叭を束にして、天に向けたような聴音器が据えつけられていたのだった。