Japanische Klassiker mit Furigana
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まどにさすかげ
窓にさす影
豊島 与志雄
Lesen Sie 窓にさす影 (まどにさすかげ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.068 Zeichen · 26 Bildschirme
その二度のこと、それがいずれも咄嗟のことだっただけに、却って異様に思い出されるのだった。
初七日の日、A叔母さんはひどく早朝からやって来て、家の者をまごつかせた。叔母さんは一切頓着なく、つかつかと仏間へやって行き、数珠を手にかけて、御経をあげた。御経の中程から、私はそっとはいって行き、後ろの方に坐って、御経を聞いた。
御経がすんで、叔母さんは経文と数珠を小さな袱紗に包んで、向き直った。
「あら、美佐子さん来てたの。」
初めて私のことに気付いたようだった。私はただ曖昧な微笑を浮べた。
「いろいろ、疲れたでしょう。それにまた、今日はたいへんね。」
「でも、あたし、もう余り手伝わないことにしてるの。」
「それでいいでしょう。わたしがあなたの分も働いてあげるから。」
家事の運びから座席の取りなしなど、叔母さんがたいへん手馴れてることは、葬式の時にも私は見た。
「叔母さまは、いろいろなこと御存じね。」
「いろいろなことって、なによ。」
「御経なんかも……。」
叔母さんは微笑しただけだったが、仏壇の方をじっと見やった。
「明日、御納骨でしょう。」
「ええ、そうらしいわ。」
叔母さんはちょっと眼を据え、何やら独り頷いて、ゆっくり言った。