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Japanische Klassiker mit Furigana

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まどにさすかげ

窓にさす影

豊島 与志雄

Lesen Sie 窓にさす影 (まどにさすかげ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.068 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

従兄の利光さんが来ていた。それを兄は引っ張り出して、私の室に逃げ込み、食卓などを持ちこんで来て、私に言った。

「ここは未婚者たちだけの室だ。嫌な顔をするなよ。」

「じゃあ、お兄さんの室はどうなの。」

「二階は不便で、島流しみたいな待遇をされるじゃないか。いいから、ここへ、酒肴をどしどし持って来てくれよ。」

戦争中兵隊に行って来た頑丈な兄と、どこか、神経質な蒼白い利光さんとは、似合わない取合せだが、同じ年頃で、元から仲はよかった。

私は室を使われるのが嫌だったが、断るわけにもいかず、女中にそう言って、酒や肴を運ばせた。

「日本酒は、一々お燗するのが面倒でしょう。だから、ビールとウイスキーにしたわ。」

「アルコール分さえあれば、何でも結構。美佐ちゃんも、ここで何か食べろよ、あっち行ったって、面白いことはないだろう。」

「ここだって、面白いことはなさそうね。」

「その代り、ビールを飲ませてやろう。」

兄とは十歳あまりも年が違うので、私の方でも兄には親しめなかったし、兄の方でも私を無視していた。ところが、祖母が亡くなってから急に、なんだか調子が変ってきた。兄ばかりではなく、両親たち、それから知人たち、みんなから私は横目でちらりちらりと見られてるような気がした。