Japanische Klassiker mit Furigana
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まどにさすかげ
窓にさす影
豊島 与志雄
Lesen Sie 窓にさす影 (まどにさすかげ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.068 Zeichen · 26 Bildschirme
でも、起源がどこにあるにせよ、その話は私の頭にはっきり刻まれていた。
――むかし、だかいつだか、深く愛し合ってる男女があった。二人だけで、互に頼りにして、一緒に暮していた。夜も、一つ室に床を並べて寝た。夜中に眼を覚すと、どちらも、相手がそこに寝ているかどうか確かめるために、手を伸ばして相手の顔を撫で、そして安心してまた眠った。
――或る夜、男が眼を覚して、いつもの通り、手を伸ばして女の顔を撫でてみた。すると、その顔には眼も鼻も口もなく、のっぺらぽうだった。男はびっくりして、立ち上り、電燈をぱっとつけた。(この電燈のことが、昔話にしてはおかしいけれど、私の頭の中でははっきり電燈なのだから、それを信ずるより外はない。)
――電燈をつけて、見ると、女の顔はいつもの通りだった。そして眼をうすく開いて、男をけげんそうに見上げながら、やさしく頬笑んだ。男は安心して、電燈を消して寝た。
――或る夜、こんどは女が眼を覚して、手を伸ばして男の顔を撫でてみた。すると、その顔には眼も鼻も口もなく、のっぺらぽうだった。女はびっくりして、立ち上り、電燈をぱっとつけた。見ると、男の顔はいつもの通りで、しかも薄眼を開いて、女をけげんそうに見上げながら、やさしく頬笑んだ。