Japanische Klassiker mit Furigana
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くぼかわいねこのこと
窪川稲子のこと
宮本 百合子
Lesen Sie 窪川稲子のこと (くぼかわいねこのこと) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.197 Zeichen · 7 Bildschirme
私は洋服を着て、その不自由そうな様子を大変劬る心持であった。私が何かいうと「ありがとう、大丈夫です」と稲子さんは笑顔をした。夜おそくなって友達のところへかえると、稲子さんはああお乳が張った、御免なさいと、立てた膝の上に受けるものをおいてお乳をしぼった。今五つの健造がまだお乳をのんでいた。その子を置いて講演会に出て来ていたのである。私は並べて敷かれている自分の寝床の方から稲子さんのお乳をしぼっているところまで出かけてゆき、プロレタリア作家としての女の生活を様々の強い、新鮮な感情をもって考えながら、やっぱり一種心配気な顔つきで稲子さんのお乳をしぼる様子を謹んでわきから眺めた。まだその頃、稲子さんの過去の生活にどんな階級的な蓄積があるかということなどについて私は殆ど全く知らなかったから、ごく普通に考えて、私は自分が稲子さんより年上だし劬って上げなければならないという気がしていたのであった。そのことを考えると、私は今何だかいい意味でだが笑えて来る。稲子さんの方は、私がまるで新しい活動に入って来たのだからと、却ってそれとなくいろいろ気を配ってくれたのであったろう。