Japanische Klassiker mit Furigana
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かまどのなかのかお
竈の中の顔
田中 貢太郎
Lesen Sie 竈の中の顔 (かまどのなかのかお) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.439 Zeichen · 15 Bildschirme
を奪られたと云う者もなければ、そのお坊さんを見たと云う者もないが、そんな噂をする者がありますよ」
「そうかな、まあ、まあ、怪しい坊主でも、碁が上手なら良いな」
翌日になると彼の僧がまた来た。心待に待っていた三左衛門はすぐ碁盤を出して、まず己が先でやってみた。先でやってみると昨日のように勝った。そして、後手でやるときっと負けた。僧はその日も夕方まで三左衛門の対手をして帰って往った。
僧はそれから毎日のように来た。三左衛門は何時も僧ばかりに来て貰ってもすまないように思うし、それにその僧がどんな生活をしているかそれも見たいので、己の方からも一度僧の許へ往こうと思って某日それを云ってみた。
「何時も私の方へばかり来ていただいてはすまない、ぶらぶら遊びかたがた、私も一度伺いたいと思うておるが」
「私の庵は、山の中の狼や狐のおる処で、べつに眺望も何もない、厭な処だから、どうか来るのはよしてくだされ」
「御迷惑ならなんだが、一度私からも伺わないとすまないから」
「いや、その御心配は無用にしてくだされ、私の処は、とても人の来る処じゃないから、折角だがそれはお断りしておきます」