Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
たちがれ
立枯れ
豊島 与志雄
Lesen Sie 立枯れ (たちがれ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.613 Zeichen · 41 Bildschirme
」
涙をためてるその大きな眼を見ているうちに、中江ははっきりしてきた。
「そうだ、君はなぜ、自由に僕の家に来てくれないんですか。僕たちは、どうしてこう卑屈なんだろう……。」
彼女の眼からすーっと涙がひいて、黒目が底深く光っていた。そして彼女は彼の肩に縋りついて、ほんとう、それほんとう? と尋ねかけたのだった。卑屈なのは先生の方で、自分はどうなろうと構わないけど、それでも、先生には、恋愛なんかよりも、もっと大きな誇りがあるべきだし、もっと大きな仕事がある筈だ、と彼女は云うのだった。社会的な動き方をしてる者は、個人的な問題に煩わされてはいけないので、そういう意味から、先生はあくまで自由でなければいけないのだ、と彼女は説くのだった。先生にもし不幸な恋でもあるなら、そんなものは忘れてしまわなければいけないし、自分たちはあんまり弱かったから、これから強く生きる覚悟をしなければいけない、と彼女は云うのだった。そうした彼女は、社会運動に関係しながら、バーの女給をしたり、今では啓文社の校正部に勤めたりして、一人で男々しく働いてる彼女だったが、その彼女がいつしか自分で自分の言葉に涙ぐんで、中江の肩により縋り、じっと畳の上を見つめて、唇をかみしめてしまったのである。