Japanische Klassiker mit Furigana
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はしがき
童話集 春
竹久 夢二
Lesen Sie 童話集 春 (はしがき) von 竹久 夢二 (たけひさゆめじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.531 Zeichen · 97 Bildschirme
太陽が清水谷公園の森の向うへ沈んでしまうと、熊さんの日輪草も、つぼみました。
「さあ晩めしの水をやるぞい。おやお前さんはもう眠いんだね」
熊さんはそう言って、首をたれて寝ている花をしばらく眺めました。時によると、日が暮れてずっと暗くなるまで、じっと日輪草をながめていることがありました。
熊さんのお内儀さんは、馬鹿正直なかわりに疑い深いたちでした。このごろ熊さんの帰りが晩いのに腹をたてていました。
「お前さんは今まで何処をうろついていたんだよ。いま何時だと思っているんだい」
「見ねえな、ほら八時よ」
「なんだって、まああきれて物が言えないよ、この人は、いったいこんなに晩くまでどこにいたんだよ」
「三宅坂よ」
「三宅坂だって! 嘘を言ったら承知しないよ。さ、どこにいたんだよ、誰といたんだよ」
「ひめゆりよ」
「ひめゆり! ?」
熊さんは、日輪草のことを、ひめゆりと覚えていたので、その通りお内儀さんに言いました。それがそもそも事の起りで、熊さんよりも、力の強いお内儀さんは、熊さんを腰の立たないまで擲りつけました。
「草だよ、草だよ」
熊さんがいくら言訳をしても、お内儀さんは、許すことが出来ませんでした。