Japanische Klassiker mit Furigana
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はしがき
童話集 春
竹久 夢二
Lesen Sie 童話集 春 (はしがき) von 竹久 夢二 (たけひさゆめじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.531 Zeichen · 97 Bildschirme
「ああ、何でも知っていなさいますよ」
「そんなら、ぼくが指を傷めた時には、可愛そうと思ったでしょうか、え母様」
「それは可愛そうだと思いなされたともね」
「じゃ、何故神様はぼくの指を傷める様になされたの?」
暫く母様は黙っておいでだった。
「まあ坊やは、それは母様には解らないわ。神様より外には誰も知らない事が沢山あるのです」
あなたは母様の言葉をあやしみながら、母様の膝のうえに抱かれて居た。
空のどこかに、雲のうえの輝き渡る大きなお宮の中に、金の冠を戴いた神様がいらっしゃることをあなたは知って居た。そしてその下の緑の世界には、小鳥が死んだり、小さな子供が指を傷めて、母様に抱かれて泣いたりするのです。
神様はすべての事、すべての人を視ていらっしゃった。けれどもそれを助けはなさらなかった。
あなたは、母様の頸に両手をまわして母様の胸に噛りついた。
「母様! ぼく神様はいや、神様はいや!」
「何故坊やはそんな事いうの? 神様は坊やを可愛がってらっしゃるのに」
「だって、だって、母様、母様がなさる様じゃないもの、神様は母様のようじゃないんだもの」
蜂と風とは林檎の枝に音を立てて居た。