Japanische Klassiker mit Furigana
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けいば
競馬
織田 作之助
Lesen Sie 競馬 (けいば) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.134 Zeichen · 24 Bildschirme
すると、あの見知らぬ競馬の男への嫉妬がすっと頭をかすめるのだった。
第九の四歳馬特別競走では、1のホワイトステーツ号が大きく出遅れて勝負を投げてしまったが、次の新抽優勝競走では寺田の買ったラッキーカップ号が二着馬を三馬身引離して、五番人気で百六十円の大穴だった。寺田はむしろ悲痛な顔をしながら、配当を受取りに行くと、窓口で配当を貰っていたジャンパーの男が振り向いてにやりと笑った。皮膚の色が女のように白く、凄いほどの美貌のその顔に見覚えがある。穴を当てる名人なのか、寺田は朝から三度もその窓口で顔を合せていたのだ。大穴の時は配当を取りに来る人もまばらで、すぐ顔見知りになる。やあ、よく取りますね、この次は何ですかと、寺田はその気もなくお世辞で訊いた。すると、男はもう馬券を買っていて、二つに畳んでいたのを開いて見せた。1だった。寺田はどきんとして、なにかニュースでもと問い掛けると、いや僕は番号主義で、一番一点張りですよ。そう言ったかと思うと、すっとスタンドの方へ出て行った。
その競走は七番の本命の馬があっけなく楽勝した。そしてそれが淀の最終競走であった。寺田は何か後味が悪く、やがて競馬が小倉に移ると、1の番号をもう一度追いたい気持にかられて九州へ発った。