Japanische Klassiker mit Furigana
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けいば
競馬
織田 作之助
Lesen Sie 競馬 (けいば) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.134 Zeichen · 24 Bildschirme
人から聴けば臍の緒も煎じ、牛蒡の種もいいと聴いて摺鉢でゴシゴシとつぶした。
しかし一代は衰弱する一方で、水の引くようにみるみる痩せて行き、癌特有の堪え切れぬ悪臭はふと死のにおいであった。寺田はもはや恥も外聞も忘れて、腫物一切にご利益があると近所の人に聴いた生駒の石切まで一代の腰巻を持って行き、特等の祈祷をしてもらった足で、南無石切大明神様、なにとぞご利益をもって哀れなる二十六歳の女の子宮癌を救いたまえと、あらぬことを口走りながらお百度を踏んだ帰り、参詣道で灸のもぐさを買って来るのだった。それでも一代の激痛は収まらず、注射の切れた時の苦しみ方は生きながらの地獄であった。ロンパンがなくなったと気がついて、派出看護婦が近くの医者まで貰いに走っている間、一代は下腹をかきむしるような手つきをしながら、唇を突き出し、ポロポロ涙を流して、のた打ち廻るのだ。世の中にこんな苦痛があったのかと、寺田もともにポロポロ涙を流して、おろおろ見ている。一代は急に、噛んで、噛んで! と叫んだ。下腹の苦痛を忘れるために、肩を噛んでもらいたいのだろう。寺田はガブリと一代の肩にかぶりついた。