Japanische Klassiker mit Furigana
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だいよんのおっとから
第四の夫から
Lesen Sie 第四の夫から (だいよんのおっとから) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.580 Zeichen · 6 Bildschirme
実は怠惰を悪徳としない美風を徳としているのである。
博学なる君はパンデン・アアジシャのラッサに与えた名を知っているであろう。しかしラッサは必ずしも食糞餓鬼の都ではない。町はむしろ東京よりも住み心の好いくらいである。ただラッサの市民の怠惰は天国の壮観といわなければならぬ。きょうも妻は不相変麦藁の散らばった門口にじっと膝をかかえたまま静かに午睡を貪っている。これは僕の家ばかりではない。どの家の門口にも二三人ずつは必ずまた誰か居睡りをしている。こういう平和に満ちた景色は世界のどこにも見られないであろう。しかも彼等の頭の上には、――ラマ教の寺院の塔の上にはかすかに蒼ざめた太陽が一つ、ラッサを取り巻いた峯々の雪をぼんやりかがやかせているのである。
僕は少くとも数年はラッサに住もうと思っている。それには怠惰の美風のほかにも、多少は妻の容色に心を惹かれているのかも知れない。妻は名はダアワといい、近隣でも美人と評されている。背は人並みよりは高いくらいであろう。顔はダアワという名前の通り、(ダアワは月の意味である。)垢の下にも色の白い、始終糸のように目を細めた、妙にもの優しい女である。