Japanische Klassiker mit Furigana
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べいこくのまつおうげき
米国の松王劇
岡本 綺堂
Lesen Sie 米国の松王劇 (べいこくのまつおうげき) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.390 Zeichen · 7 Bildschirme
私のおどろいたのは、主人公の松王を勤めたヘンリー・ウォルサルの立派なことです。病鉢巻をして出て来たところは訥子を大柄にしたようで、顔の作りなども好く出来ているので、ちょっと見ては、外国人とは思えないくらいでした。しかしこの人も台詞をひどく伸ばして、しかも抑揚の少い一本調子の英語で押通しているのが耳障りでした。例の「奥にはぱったり首打つ音」は、なんにも音を聞かせないで、単に松王がよろけるだけですが、それでも観客に得心させるように遣っていたのは巧いものです。首実検の時に手を顫わせながら、懐紙を口にくわえる仕種などをひどく細かく見せて、団十郎式に刀をぬきました。ここでも首は見せません。首桶を少し擡げるだけでしたが、観客はみな恐れるように眼を伏せていました。
松王も千代も二度目の出には、やはり引抜いて白の着附になりましたが、松王はを着ていませんでした。それでも柄が立派なのでちっとも見そぼらしいとは思えませんでした。松王が身がわりの秘密を打明ける件になると、婦人の観客のうちにはハンカチーフを眼にあてているのが沢山ありました。要するに観客は親子という方面にばかり注意していて、源蔵夫婦の苦心には重きを置かないらしく見えます。