Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
そまつなはなたば
粗末な花束
宮本 百合子
Lesen Sie 粗末な花束 (そまつなはなたば) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.227 Zeichen · 13 Bildschirme
私は、彼女が、どうやって人を呼びとめてよいのかも見当がつかないでいることを知った。母やつれの女が、こう云えとは教えただろう。が、彼女の唇から最初の一声がどうしても出ないのだ。もういやというのは余り生活の苦しさや、彼女の助力の必要を理解した。だから彼女は泣いたり、愚図つくのを恥じている。然し、見も知らぬ通行人を、止めようとすると、云い難い外国語が、彼女の細い真直な少女の喉元を塞げるのだ。彼女は矢張り下手な売り手であった。そして、下手さは、清げなおかッぱや、或る品のあるきりっとした容貌と決して不釣合ではない! 私は、却って彼女のそのぎごちない、少女らしいぷりぷりした処に愛を感じた。若し、思い設けなかった愛嬌で媚び笑いながら、彼女に今夜花束をすすめられたら、私は寂しくなり、恐らく買わずに過たろう。私がいつもあの婦人帽をよけて通るように。
私は、気をつけてさり気なく、気難しげに佇んでいる少女の傍に近寄った。
「その花を下さい」
少女は、びっくりした表情で、私と自分と手に持っている花束とを見較べた。私は、思わず微笑して、繰返した。
「その花を二つ下さい」
少女は伏目になり、非常に美しい表情をちらりと頬に浮べ、私に花を渡した。