Japanische Klassiker mit Furigana
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そまつなはなたば
粗末な花束
宮本 百合子
Lesen Sie 粗末な花束 (そまつなはなたば) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.227 Zeichen · 13 Bildschirme
「何でしょう、病人?」
と怪しみながら通りがかりに振向いて見た。思いがけず人の間から、見覚えのある紅い婦人帽が覗いている。私は立ち止った。よく見ると、その帽子は低くかがみ込んで、もう一人別な女と一緒に、飾窓の地面とすれすれの縁に腰かけて顔をかくしている少女に、頻りに何か云っているのだ。
言葉は聞えない。けれども、彼女の後姿には刻々多くなる見物に対する意識が明に現れていた。少女の肩に手をかけ、一分も早くその場面を切りあげたそうに、情けなそうに何か云っている。少女は十一二で際立って美しい素直な金髪を持っていた。紺サージの水兵帽からこぼれたおかっぱが、優美に、白く滑らかな頬にかかっている。男の子のようにさっぱりした服の体を二つに折り、膝に肱をついた両手で顔をかくしている。彼女は、正直な乱暴さで、ぐいと、左手の甲で眼を拭いた。二人の大人が云うことに耳を貸さず、むっとした憤りを示して動かない。頑固な様子の裡に、私は一種気持よい強さと、清らかさとを感じた。どういうことで少女が泣き出したのか。まるで前後の事情を知らないのに、私は彼女が全く理由なしに拗ねているのではないこと、彼女は本気で、悲しさより何かの苦しさで泣いていることを感じたのであった。