Japanische Klassiker mit Furigana
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ふんにょうたん
糞尿譚
火野 葦平
Lesen Sie 糞尿譚 (ふんにょうたん) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.974 Zeichen · 99 Bildschirme
彼は大きな欠伸をして、トラック小屋の上に近頃塗りかえて揚げた新しい看板を振り仰いだ。
新しい看板の図
純白なペンキの色が一層彦太郎を楽しくした。今度入れた市指定の三字を何度も繰り返して眺め、よしよしという風にもったいらしくうなずいた。それからトラック小屋の裏手に廻ると、大きな声で、ようい、居るか、と呼んだ。はあい、と掘立小屋の中から鈍重な返事が聞え、赤錆びたトタンの扉をめくって、長髯をしごきながら、ひょろ長い李聖学の顔が出た。これから集金に廻るが従いて来んか、と彦太郎がいうと、急に顔を顰めて、どうも昨夜から腹が痛いですから、と云い、返事も待たず、馬鹿にしたような薄笑いを浮かべて、がたんとトタンの扉を下してしまった。彦太郎が舌打して、旱魃で水量の減った唐人川に沿うて下って行くと、背中に、掘立小屋の中で、妙な節廻しで李聖学が朝鮮の歌を呶鳴っている声が聞えた。その間ののびた歌声は明らかに彦太郎を嘲弄した調子を帯びていたけれども、彦太郎は一向通じない様子で、自分も釣られたように、口三味線を入れながら、三勝半七酒屋之段の一くだりか何かを口吟み出した。この浮かれた気分は彼にとって彼を実に幸運な事態にみちびいた出来事が起った。