Japanische Klassiker mit Furigana
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こうばいつきげ
紅梅月毛
山本 周五郎
Lesen Sie 紅梅月毛 (こうばいつきげ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.869 Zeichen · 32 Bildschirme
といって大きく眼をみはった。「みごとなお馬でございますこと、伏見の競べ馬にお乗りあそばすのでございますね」「そうだ」半之丞はそう頷きながら手綱をお梶にわたした。そして前へまわって馬の※のところを指で撫でたり、口の糠付を押しつけてみたりした。馬は不安らしくびりびりと脇腹を震わし、首を振るかと思うと前足で地を掻いた。「癇が強そうでございますこと」「うん、少しこなさなければなるまい」「鹿毛は口惜しゅうございましょう」半之丞はふと娘を見た。お梶は妬ましそうに牡丹の横顔を見まもっていた。……病気でさえなければ鹿毛が出るところだ、晴れの催しに自分の丹精した馬がお役にたたない、口惜しいというのは寧ろお梶の気持だったろう、半之丞は黙って眼をそむけた。
その日の午後になって松下家から人が来た。会ってみるとその朝牡丹を曳いて来た娘だった。しかしこんどはあでやかに衣装を着替え、うす化粧さえしているので、すぐれた美貌が洗いだされたように耀いてみえた。侍女とみえる小女をうしろに、座へ就いて会釈をするとすぐ「どうぞこれをごらん下さいまし」といって娘は書状をさしだした。……それは松下河内から半之丞に宛てたものだった。