Japanische Klassiker mit Furigana
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こうばいつきげ
紅梅月毛
山本 周五郎
Lesen Sie 紅梅月毛 (こうばいつきげ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.869 Zeichen · 32 Bildschirme
「はい」お梶はちょっと臆したようすで、「でも、わたくしに飼えますでしょうか」と眩しげに主人を見あげた。「おれも面倒をみるよ」そう云って半之丞は踵を返した。
お梶はそのうしろ姿を見送りながら、ぱっと花でも咲いたように顔を輝かした。もう忘れられてしまったと考えていた主人が、この駄馬を乗馬に飼いたてるという、むずかしい仕事を自分に選んで呉れた。「ご主人はお梶を忘れてはいらっしゃらなかったのだ」そう思うと今日までの悲しい辛いおもいが一遍に消え去って、生甲斐のあるよろこびがはげしく胸へ溢れてきた。日蔭ばかりの裏庭さえ、急に明るく灯が点ったように感じられた。「おまえは仕合せ者ですよ」お梶は浮き浮きと駄馬に話しかけた、「おりっぱなご主人に拾って頂いて、いまに御登城のお供もできるんですよ、でもそうなるにはおまえ自分でもしっかりしなくてはだめね、お百姓の家にいたときとは違うのだから、……でも大丈夫、きっとあたしが凛とさせてあげます、あの牡丹にも負けないようにね」話しながら、お梶は寧ろ自分のほうがよろこびに酔っているようであった。
けんめいなお梶の努力がはじまった。