Japanische Klassiker mit Furigana
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こうぎょく
紅玉
泉 鏡花
Lesen Sie 紅玉 (こうぎょく) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.518 Zeichen · 23 Bildschirme
その日は、御前様のお留守、奥様が欄干越に、その景色をお視めなさいまして、――ああ、綺麗な、この白い雲と、蒼空の中に漲った大鳥を御覧――お傍に居りました私にそうおっしゃいまして――この鳥は、頭は私の簪に、尾を私の帯になるために来たんだよ。角の九つある、竜が、頭を兜に、尾を草摺に敷いて、敵に向う大将軍を飾ったように。……けれども、虹には目がないから、私の姿が見つからないので、頭を水に浸して、うなだれ悄れている。どれ、目を遣ろう――と仰有いますと、右の中指に嵌めておいで遊ばした、指環の紅い玉でございます。開いては虹に見えぬし、伏せては奥様の目に見えません。ですから、その指環をお抜きなさいまして。
紳士 うむ、指環を抜いてだな。うむ、指環を抜いて。
侍女 そして、雪のようなお手の指を環に遊ばして、高い処で、青葉の上で、虹の膚へ嵌めるようになさいますと、その指に空の色が透通りまして、紅い玉は、颯と夕日に映って、まったく虹の瞳になって、そして晃々と輝きました。その時でございます。お庭も池も、真暗になったと思います。虹も消えました。黒いものが、ばっと来て、目潰しを打ちますように、翼を拡げたと思いますと、その指環を、奥様の手から攫いまして、烏が飛びましたのでございます。