Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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「もん」

「紋」

黒島 伝治

Lesen Sie 「紋」 (「もん」) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.739 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

ばあさんは、また一日をつぶして、「紋」を手籠に入れて捨てに行った。今度は、上り一里、下り一里半の山を越して遠くへ行った。

「やれ/\寛ろいだ。もうこれで戻りゃせんじゃろうんの。」晩に暗くなってから、ばあさんは家へ帰って、「どこぞで風呂を一っぱい貰いたいもんじゃ。――ああ、シンドかった。」

「太衛門にゃ風呂場から煙が出よったけれど、入りに来い云うて来りゃせんがい。」と、じいさんは井戸端で足を洗ってきて云った。

「せんど風呂に入らんせに、垢まぶれになった上に汗をかいて、気色が悪るうてどうならん。」

二人は、もう殆ど一カ月ばかり風呂に入っていなかった。夏だったら行水が出来るのだが、秋も十一月の初めになっては行水どころではなかった。

「まあ、今夜は、乾手拭ででも身体を拭いて辛抱せい。二三日たったら、またもとのように旦那んとこで入れて貰えようだイ。」と、じいさんは云って、自分で掘って来て蒸した芋を頬ばった。

けれども、一日おいて、猫は再び帰って来た。そして、以前と同様に魚を盗んだり、鶏をねらったりした。

子供達は、もう忘れてしまったように猫をいじめなかった。が、その代り、大人が、見つけ次第に礫を投げつけたり、棒でぶん殴りに来たりした。