Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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むらさきのびん

紫の壜

豊島 与志雄

Lesen Sie 紫の壜 (むらさきのびん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.802 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

伯父のところへ来る意志は私にないかということ。今はいささか暇ではあるが、将来有望な海産物の加工場に、しっかりした人物が入用であるということ。復員者であることや年頃など、私に丁度ふさわしい地位であるということ。其他いろいろ。

次々にやってくる伯父の手紙は、督促状みたいな調子になっていった。私は曖昧な返事を出しておいた。母からも別に、曖昧な手紙がいったらしい。伯父はやがて、年内に確実な返事がほしいと、強硬な期限づきで言ってきた。年内に返事がなければ、他の人を雇わなければならないとのことだった。なにか切迫した事情があるらしいのだ。――私は母や妹の意向も探ってみたが、ただなんとなく気懸りらしく淋しそうなだけで、一向に要領を得なかった。

そういう事情が、私を更に弓子へ執着さしたのだ。私は彼女に伯父からの手紙のことを話した。冗談のように装って話した。彼女は故意に殻にでも閉じ籠るような様子を示した。どうでもよいことのような調子を装った。装ったのだと私は思った。そして内心では、彼女が私を引きとめてくれるものと期待していた。――更に内心では、私は打ち明けて言おう。