Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
女の子ばかりで男の子を持たなかった父は、晩年に隠居して家督を養子辰雄に譲り、次女幸子にも婿を迎えて分家させたが、三女雪子の不仕合せは、もうその時分そろそろ結婚期になりかけていたのに、とうとう父の手で良縁を捜して貰えなかったこと、義兄辰雄との間に感情の行き違いが生じたこと、などにもあった。いったい辰雄は銀行家の忰で、自分も養子に来る迄は大阪の或る銀行に勤めていたのであり、養父の家業を受け継いでからも実際の仕事は養父や番頭がしていたようなものであった。そして養父の死後、義妹たちや親戚などの反対を押し切って、まだ何とか蹈ん張れば維持出来たかも知れなかった店の暖簾を、蒔岡家からは家来筋に当る同業の男に譲り、自分は又もとの銀行員になった。それと云うのは、派手好きな養父と違い、堅実一方で臆病でさえある自分の性質が、経営難と闘いつつ不馴れな家業を再興するのに不向きなことを考え、より安全な道を選んだ結果で、当人にすれば養子たる身の責任を重んじたからこその処置なのであるが、雪子は昔を恋うるあまり、そう云う義兄の行動を心の中で物足りなく思い、亡くなった父もきっと自分と同様に感じて、草葉の蔭から義兄を批難しているであろうと思っていた。