Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
或る日の夕刻、例の如く蘆屋の家の前に慌しくタキシーを停めて、ちょっと門口まで御挨拶に伺いましたと、井谷が玄関から声をかけた。幸子は折あしく風邪を引いて臥ていたけれども、貞之助が戻って来ていたので、ここで失礼致しますと云うのを強いて応接間に請じ入れて暫く話したが、その後瀬越さんはどうしていらっしゃるでしょうか、御当人は寔によい方だのにああ云うことで残念です、………ほんとうにお気の毒なお方で、………などと云ったようなことから、しかしあの方は、お母さんのそう云う御病気のことを此方が既に知っているものと思っておられたのでしょうね、と、貞之助が云うと、そう云えば、最初瀬越さんは妙に遠慮していらしって、気乗りがしない御様子でしたのが、後になる程だんだん熱心になられたのです、矢張最初はお母さんのことがあるので、控え目にしていらしったのかも知れませんね、と、井谷も云った。そうだとすれば此方の調べが手間取ったためにそう云う感違いをさせたわけで、僕達の方が重々悪いのです、と貞之助は云ってから、何卒これにお懲りにならずに是非又お世話をして戴きたく、と、この間も云った台辞を云うと、井谷は急に声をひそめて、「子供が大勢あるのさえお構いなければ、今も一つ話がないことはないんですがねえ」