Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
「へえ、これ、ほんとうにあなたがお作りになったんですか」
「そうです。しかし悪い所沢山々々ありました。皆妙子さん直してくれました」
「兄さん、その帯の模様見て御覧」
と、妙子が云った。
「それ、うちが教せたげたのんと違いまっせ。カタリナさん自分で思い付かはって、自分で画かはりましてん」
人形の締めているだらりの帯には、大方兄のキリレンコにでも知慧を借りたのであろう。黒地にペインテックスで桂馬と飛車の将棋の駒が描いてあるのであった。
「これ、見て下さい」
と、カタリナは又、上海時代の写真帳を出して来て、「これ、わたしの前の旦那さん」「これ、わたしの娘」などと云った。
「この娘さん、カタリナさんによく似ています。別嬪ですね」
「あなた、そう思いますか」
「ええ、ほんとうによく似ています。あなた、この娘さんに会いたいと思いませんか」
「この娘、今英国。会うこと出来ません。仕方ないです」
「英国の何処にいるか、あなた分っているんですか。あなたもし英国に行ったら、この娘さんに会うこと出来ますか」
「それ、分らない。けれど、わたし、会いたい。わたし、会いに行くかも知れませんね」
カタリナは別に感傷的にもならずに、平気でそんな風に語った。