Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme

Aozora Bunko

「あの人等、やっぱりあないしてるのんが淋しいて、日本人に交際求めてるねんで」

「兄さん、あのウロンスキー云う人なあ、―――」

と、二三歩あとの暗闇から妙子が云った。

「あの人、気の毒な事情がおますねんで。何でも若い時に恋人がおましてんけど、革命でお互に居所知れんようになってしもてん。―――それから何年か立って、その恋人が濠洲にいてる云うことが分ったのんで、あの人、濠洲まで訪ねて行きやはりましてん。そしたら、やっと居所が知れて、会えたことは会えたけど、直きその恋人が病気になりやはって、死んでしもたんで、それから一生操立てて、独身通してはりますねん」

「成る程なあ、そう云えば確かにそんな感じする人や」

「濠洲で一時苦労しやはって、鉱山の坑夫にまでなってんけど、後で商売して、お金儲けはって、今では五十万円から持ってはりまんねん。カタリナの兄さん、あの人から幾らか資本出してもろてるらしいねんわ」

「おや、何処かで丁子が匂うてる。―――」

と、別荘街の、生垣つづきの路へ這入ると幸子が云った。

「あーあ、まだ桜が咲くまでには一と月あるねんなあ、待ち遠やわ」

「わたし、待ち遠ごぜえます」