Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
それが、丹精のかいがあって、どうやら今ではものになって来たのだけれども、矢張余所のと比べると発育が悪く、緑の色の出かたが一般のよりは遅かった。で、貞之助は自分が首唱者であった責任上、人一倍芝生の手入れをするのであるが、育ちの悪い原因の一つは、芽の出始める春先に雀がやって来て傍からその芽を摘んでしまうせいでもあることを発見して以来、毎年早春の季節になると雀を防ぐことに努め、見つけ次第小石を投げて追い散らすのを仕事のようにして、家族の者たちにもやかましく云うので、ほら又兄さんの石投げが始まる時候が来たと、義妹たちはよく云い云いした。そして、陽気が暖かになると、折々今日のような風に、海水帽にもんぺを穿いて、芝の間に繁殖するぺんぺん草や車前を取ったり、芝刈器で、ジョキジョキ芝を刈ったりした。
「あんた、蜂、蜂、大きな蜂やわ」
「何処に」
「それ、そっちへ」
テラスの上には、もう例年のように葭簀張の日覆いが出来ていた。幸子はその蔭の中にある、皮つきの白樺の丸太で作った椅子に掛けているのであったが、蜂は彼女の肩をかすめて、支那焼のの上に据えられた芍薬の鉢の周りを二三度旋回して、ぶうんと呻りながら、紅白の平戸が咲いている方へ飛んで行った。