Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
一体いつ宿変えするのん」
「さあ、―――何も家捜してるような様子ないけど」
「そんなら、せえへんつもりやろか」
「そうやないやろか。去年はこんなに狭かったらどうもならん云うて、宿変えするする云うてたけど、今年になったら、あんまりそんなこと云わんようになってしもてん。何や、兄さんも姉ちゃんも考が変ったらしいねんわ」
雪子はそう云って、意外なことを語り出した。―――これは自分の観察であって、姉ちゃん達夫婦の口からはっきりそうと聞かされた訳ではないのだけれども、もともと、夫婦があれほど離れるのを嫌がっていた大阪の土地を離れて、東京へ出る決心をした動機は、兄さんが出世慾を起したこと、―――そして又、その出世慾を起すに至った原因はと云えば、親子八人もの家族を抱えて亡父の遺産では食べて行けなくなったと云う、少し大袈裟に云えば生活難を感じ出したことにあるのだから、東京へ来た当座こそ、家の狭さを喞っていたものの、だんだん住み着いてみるにつれて、これでも辛抱出来なくはない、と云う気持になって来たのではあるまいか。それには何よりも、五十五円と云う家賃に誘惑されたのであろう。