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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜっけいばんこくはくらんかい

絶景万国博覧会

小栗 虫太郎

Lesen Sie 絶景万国博覧会 (ぜっけいばんこくはくらんかい) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.752 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

そこに弾んでいるのが役者の噂でなくとも、又となく華やかな、美くしいものに相違ないのである。所が、尾彦楼の中には、日没が近付くにつれて、何処からともなく、物怯じのした陰鬱なものが這い出して来た。と云うのは、その夕、光子のものに加えて、更にもう一つの雛段が、飾られねばならなかったからだ。

所で、この尾彦楼の寮には、主人夫婦は偶さかしか姿を見せず、一人娘の十五になる光子と、その家庭教師の工阪杉江の外に、まだもう一人、当主には養母に当るお筆の三人が住んでいた。そのお筆は、はや九十に近いけれども、若い頃には、玉屋山三郎の火焔宝珠と云われた程の太夫であった。しかも、その源氏名の濃紫と云う名を、万延頃の細見で繰ってみれば判る通りで、当時唯一の大籬に筆頭を張り了せただけ、なまじなまなかの全盛ではなかったらしい。また、それが稀代の気丈女、落籍されてから貯めた金で、その後潰れた玉屋の株を買い取ったのであるから、云わば尾彦楼にとっては初代とも云う訳……。従って、当主の兼次郎夫妻は、幾らか血道が繋がっていると云うのみの事で、勿論腕がなければ、打算高いお筆が夫婦養子にする気遣いはなかったのである。