Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜっけいばんこくはくらんかい
絶景万国博覧会
小栗 虫太郎
Lesen Sie 絶景万国博覧会 (ぜっけいばんこくはくらんかい) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.752 Zeichen · 31 Bildschirme
その室は、光琳風の襖絵のある十畳間で、左手の南向きだけが、縁になっていた。その所以でもあろうか。午後になって陽の向きが変って来ると、室の四隅からは、はや翳りが始まって来る。鴨居が沈み、床桂に異様な底光りが加わって来て、それが、様々な物の形に割れ出して行くのだ。すると、唯でさえチンマリとしたお筆の身体が、一際小さく見えて、はては奇絶な盆石か、無細工な木の根人形としか思われなくなってしまうのだった。
然し、その日のように雛段が飾られて、紅白に染め分けられた雪洞の灯が、朧ろな裾を引き始めて来ると、そこにはまた別種の鬼気が――今度は、お筆の周囲から立ち上って来るのだった。と云って、必ずしもそれは、緋毛氈の反射の所以ばかりではなかったであろう。恰度その白と紅の境いが、額の辺りに落ちているので、お筆の顔は、その二段の色に染め分けられていた。額から下は赭っと柿ばんでいて、それがテッキリ、嬰児の皮膚を見るようであるが、額から上は、切髪の生え際だけが、微かに薄映み――その奥には、白髪が硫黄の海のように波打っていた。
然し、それだけでは、余りに顔粧作りめいた記述である。