Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ままこ

継子

夢野 久作

Lesen Sie 継子 (ままこ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.364 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

涙を拭き拭き、

「おやすみなさい」

と言って顔を上げたが、その時にはもうマダム竜子は寝室に入ったらしく、入口のカーテンが微かに揺らぎ残っているだけであった。

玲子はまた急に悲しくなりながら、サルーンの電燈を消して、ギシギシと鳴る階段を手探りの足探りにして三階の方へ上って行った。

それから何分か、何十分か……ホンノちょっとばかり三階の寝床の中でウトウトしたと思ううちに突然、下の二階あたりから消魂しい物音が聞こえて来たので、玲子はフッと眼を見開いた。睡むいのを我慢しながらモウ青白く夜の明けている狭い梯子段を伝い降りて、母親の寝室のカーテンの中へ走り込んで行った。もしや……と胸を轟かしながら……母親を気づかいながら……。

けれども玲子は寝室の中へ一歩を踏み入れかけると同時にハッと立止まった。寝室の中の光景を一目見ると、入口の柱に獅噛みついてガタガタと震え出したのであった。

ツイ今しがたまでピンピンしていたマダムの竜子が、派手な寝間着のまま、寝台から床の上に引きずり卸されて、髪を振り乱したまま仰向けさまの大の字になって横わっている。その左の胸に血だらけになった白鞘の匕首が一本、深々と刺さっている。