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Japanische Klassiker mit Furigana

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どくしょ

続思索と体験『続思索と体験』以後

西田 幾多郎

Lesen Sie 続思索と体験『続思索と体験』以後 (どくしょ) von 西田 幾多郎 (にしだきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.503 Zeichen · 13 Bildschirme

Aozora Bunko

金沢にいた十年間は私の心身共に壮な、人生の最もよき時であった。多少書を読み思索にも耽った私には、時に研究の便宜と自由とを願わないこともなかったが、一旦かかる境遇に置かれた私には、それ以上の境遇は一場の夢としか思えなかった。然るに歳漸く不惑に入った頃、如何なる風の吹き廻しにや、友人の推輓によってこの大学に来るようになった。来た頃は留学中の或教授の留守居というのであったが、遂にここに留まることとなり、烏兎怱々いつしか二十年近くの年月を過すに至った。近来はしばしば、家庭の不幸に遇い、心身共に銷磨して、成すべきことも成さず、尽すべきことも尽さなかった。今日、諸君のこの厚意に対して、心窃に忸怩たらざるを得ない。幼時に読んだ英語読本の中に「墓場」と題する一文があり、何の墓を見ても、よき夫、よき妻、よき子と書いてある、悪しき人々は何処に葬られているのであろうかという如きことがあったと記憶する。諸君も屍に鞭たないという寛大の心を以て、すべての私の過去を容してもらいたい。

彼はこういうようなことを話して座に復した。集れる人々の中には、彼のつまらない生涯を臆面もなくくだくだと述べ立てたのに対して、嫌気を催したものもあったであろう、心窃に苦笑したものもあったかも知れない。