Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぬいこ

縫子

宮本 百合子

Lesen Sie 縫子 (ぬいこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.962 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

暫く間を置いて今泉の細君が云った。

「やっぱり人はきっちり勤めでもあった方がいいと見えますね、お出しなさるといいんですよ縫子さんも」

「実科を出たばかりのとき暫く勤めていたことがあるんですが、どうも何をしても続かないんでね、朝起きるのが辛い人だから冬なんぞとてもね」

「人間は張合いで生きているようなもんですもの、お琴でもお花でもお稽古ごとだって習えば習っただけのことがあるんだからなさりゃいいんですよ」

「――何か好きなことがありでもするといいんですがねえ」

と述懐するような母の声がした。母は縫子を前に置いて云うことしか云っていない。縫子は床の中から他人事(ひとごと)のように聞いた。

すると、突然今泉の細君が大きな声で、

「なあに、今にちゃんとした方でも見付かって身がきまれば大丈夫なおりますよ」

と云った。その声は寝ている縫子の耳にひどく大きく響いた。

「そうだろうと思っていますけどね、何しろ」

あと急にひそひそ話になった。縫子は心持を悪くした。彼女は覚えず欹(そばだ)てていた耳まで夜具をかぶり、再び物懶(ものう)く目を瞑った。六畳でのひそひそ話しはざっと、

「何しろ、縫子には義理がありますから、そこがね、どうも難しいんですよ。