Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わなにかかったひと

罠に掛った人

甲賀 三郎

Lesen Sie 罠に掛った人 (わなにかかったひと) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.112 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

「うん、全く運のない奴だ」

「天罰ね。でも、私達が殺さないで好かったわ」

「しかし、俺達は疑われるかも知れない」

「本当ね。急にお金が這入って、急に旅行に出たりして、それに私達は玉島の所へ行っているんですものね。疑われるには道具立が揃い過ぎているわ。もし、警察へ呼ばれたらどうしましょう」

「仕方がない。その時の事さ」

友木は妻を安心させるように事もなげに云ったが、心のうちの不安は一通りのものではなかった。いや、不安は既に通り越していた。彼は恐怖に顫えていた。よし、玉島を殺した疑いは晴せるとしても、拾った金を横領したと云う事は隠すべくもなかった。もし、それを隠せば、玉島を殺したと云う嫌疑は高まるばかりである。事によると、玉島を殺した嫌疑も云い解けないかも知れない。

「あなた、どうかなすったの」

伸子は友木が急に黙り込んだのを心配そうに訊いた。

「何でもないさ。疲れたんだよ。もう寝ようじゃないか」

女中に床を取らせて友木は横になった。然し、不安に次ぐ恐怖は高まるばかりで、寝つく事は出来なかった。

夜が明けてから、廊下を通る足音がする度に、もしや刑事がと胸をひしがれていた友木は、寝不足の眼を脹らしながら起き出て、急いで朝刊に眼を通した。