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Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうぎしょう

老妓抄

岡本 かの子

Lesen Sie 老妓抄 (ろうぎしょう) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.601 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

空は凝って青く澄み、大陸のような雲が少し雨気で色を濁しながらゆるゆる移って行く。隣の乾物の陰に桐の花が咲いている。

柚木は過去にいろいろの家に仕事のために出入りして、醤油樽の黴臭い戸棚の隅に首を突込んで窮屈な仕事をしたことや、主婦や女中に昼の煮物を分けて貰って弁当を使ったことや、その頃は嫌だった事が今ではむしろなつかしく想い出される。蒔田の狭い二階で、注文先からの設計の予算表を造っていると、子供が代る代る来て、頸筋が赤く腫れるほど取りついた。小さい口から嘗めかけの飴玉を取出して、涎の糸をひいたまま自分の口に押し込んだりした。

彼は自分は発明なんて大それたことより、普通の生活が欲しいのではないかと考え始めたりした。ふと、みち子のことが頭に上った。老妓は高いところから何も知らない顔をして、鷹揚に見ているが、実は出来ることなら自分をみち子の婿にでもして、ゆくゆく老後の面倒でも見て貰おうとの腹であるのかも知れない。だがまたそうとばかり判断も仕切れない。あの気嵩な老妓がそんなしみったれた計画で、ひとに好意をするのでないことも判る。

みち子を考える時、形式だけは十二分に整っていて、中味は実が入らず仕舞いになった娘、柚木はみなし茹で栗の水っぽくぺちゃぺちゃな中身を聯想して苦笑したが、この頃みち子が自分に憎みのようなもの