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Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうねん

老年

芥川 竜之介

Lesen Sie 老年 (ろうねん) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.582 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

そうかと思うと、新内の流しに出た事もあると云う男なんで。もとはあれでも師匠と同じ宇治の家元へ、稽古に行ったもんでさあ。」

「駒形の、何とか云う一中の師匠――紫蝶ですか――あの女と出来たのもあの頃ですぜ。」と小川の旦那も口を出した。

房さんの噂はそれからそれへと暫くの間つづいたが、やがて柳橋の老妓の「道成寺」がはじまると共に、座敷はまたもとのように静かになった。これがすむと直ぐ、小川の旦那の「景清」になるので、旦那はちょっと席をはずして、はばかりに立った。実はその序に、生玉子でも吸おうと云う腹だったのだが、廊下へ出ると中洲の大将がやはりそっとぬけて来て、

「小川さん、ないしょで一杯やろうじゃあ、ありませんか。あなたの次は私の「鉢の木」だからね。しらふじゃあ、第一腹がすわりませんや。」

「私も生玉子か、冷酒で一杯ひっかけようと思っていた所で、御同様に酒の気がないと意気地がありませんからな。」

そこで一緒に小用を足して、廊下づたいに母屋の方へまわって来ると、どこかで、ひそひそ話し声がする。長い廊下の一方は硝子障子で、庭の刀柏や高野槙につもった雪がうす青く暮れた間から、暗い大川の流れをへだてて、対岸のともしびが黄いろく点々と数えられる。