Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのけんこうとし

耄碌寸前

森 於菟

Lesen Sie 耄碌寸前 (おうがいのけんこうとし) von 森 於菟 (もりおと) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.925 Zeichen · 89 Bildschirme

Aozora Bunko

実際僕には、彼等の親しげな言葉がきこえるような気がするのである。彼等は、皮を剥がれ、長時間の作業で、筋肉血管神経と調べられた末に、あとをきれいにして結局白骨にされるまで、あるいは眠りを誘うように、あるいはやさしく訴えるように静かに語りつづける。そして最後に完全に解体されて、おさらばする時になると、彼等は小声で、「先生さよなら」という。僕も「やあさよなら、君等のことは、もうじき君たちと一緒になるまで忘れやしないよ」と訣別の辞を述べる。

彼等は、僕等に単に愛着を示してくれるだけでなく、全く献身的に色々なことをしてくれるのである。第一、年々幾人かの博士をこさえてくれる。この肩書があると、開業医諸君の場合は患者もふえるだろうし、恐ろしい世の中から身を護る隠れ蓑として何かと便利である。また、教授の側としても、死体を媒介に知己を得た新旧の博士様方を全国に持っていて、旅行のたびごとに友情を分かち合うのも決して悪くないし、それに、彼等のおかげでヨーロッパやアメリカの土さえ踏む機会さえある。

このように、居心地のすこぶる好い解剖室から、半ば夢心地でふらふら出て来たとき、助手君がとんで来て、「先生××雑誌社からお電話です」