Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にくたい

肉体

豊島 与志雄

Lesen Sie 肉体 (にくたい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.219 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

て、ひとりでに動きだして、その物になってゆく……そんな感じを受けるんです。小野君の画布の上には、全体が赤の色調をもった、そして所々淡く紫がかった、いろんな線や斑点がばらまかれて、それが今にも一人で動きだして、何かになろうとしています……。見ると、赤ん坊はすやすや眠っていて、真白な着物を着、枕も布団も真赤なもので……丁度人形のようでした。小野君は描くよりもじっと眺める方が多くて、やがて絵筆をすてて大きく息をつきました。

「どうも……素敵だなあ……むずかしい。」

そして赤ん坊の方に歩み寄って、大きな指先で、頬辺をつっつきました。赤ん坊の顔は、くしゃくしゃになって、それから波が消えるように静まり返って、大きな黒い眼をぱっちり開きました。

「あら、起っきしたの。」

トキエが笑いかけて、小野君の絵のことなんかお構いなしに、抱き上げてしまいました。そして真赤な布団の代りに、やはり真赤なちゃんちゃんこにくるんで、乳を含ませているのを、小野君も私も、ぼんやり眺めました。

「だめだなあ……奥さんは。」

「だって、あまり長いんですもの。……ねえ、可哀そうね。」

子供にそう呼びかけておいて、彼女は笑っていました。