Japanische Klassiker mit Furigana
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はだいろのつき
肌色の月
久生 十蘭
Lesen Sie 肌色の月 (はだいろのつき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.706 Zeichen · 101 Bildschirme
呼出しを受けたら、その都度、伊東署へ来てもらえれば」
「すると、結局、ここから動けないということなのね」
捜査主任は微笑しながらうなずいてみせた。
「そのほうが、どちらのためにも都合がいいだろう、時間の節約にもなるし」
「死体があがるまで、こんなところで待っていなければならないというのは、どういうわけなんでしょう」
「君のためにも待っているほうがよさそうだ。検尿の結果、殺人容疑が、自殺干与容疑ぐらいで軽くすむかもしれないから」
「それは死体が揚れば、のことでしょう?……湖心に吸込孔があって、湖底が稚児※淵につづいているもんだから、この湖水で死体が揚ったためしがないってことだったけど」
「それは伝説だ……この湖は石灰質の陥没湖じゃないから、吸込孔などあろうはずはない。いぜんは深かったが、関東大震災で底の浅い湖水になった。白髪になるまで待たせはしないから、安心したまえ」
ちょっとしたことだと思っていたが、どうやら殺人容疑になるらしい。久美子は気分を落ちつけるために、煙草に火をつけた。
「災難ね……あきらめて、死体が一日も早く揚るように祈ることにしましょう。キャンプ村のバンガローへ移りたいんだけど、いいでしょうか」