Japanische Klassiker mit Furigana
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はだいろのつき
肌色の月
久生 十蘭
Lesen Sie 肌色の月 (はだいろのつき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.706 Zeichen · 101 Bildschirme
「宇野久美子の装検をしたら、ジャンパーのかくしからこんなものが出てきたぜ」
「なんです」
「ブロミディア……普通にブロムラールといっているブロバリン系の催眠剤だ」
そういいながら、アンチモニーの小さな容器を手渡した。
「それで?」
「十グラムが致死量だというから、相当、強力なやつにちがいない。こんなものを持っているところをみると、あの女も自殺するくらいの気はあったのらしい……あの女の行動に、常識では解きにくいような不分明なところがあるが、これで、いっそうわからなくなった」
「まったく、正体が知れないというのは、あの女のことです」
「大池は自殺したのか、生きているのか、どっちかわからないが、逃げようと思えば逃げる機会はあったはずなのに、嫌な目にあうのを承知でこんなところに居残っているのは、いったい、どういうわけなんだ」
「神保さん、そのことなんだ……私は三分の迷いを残して、大池は自殺したのだと考えるようにしていたが、宇野久美子のありかたを見ていると、大池は死んだのではなくて、どこか近くに隠れていて、宇野久美子と連繋をとりながら脱出する機会をねらっているのだと想像しても、おかしいことはないと思うようになった」