Japanische Klassiker mit Furigana
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はらのへったはなし
腹のへった話
梅崎 春生
Lesen Sie 腹のへった話 (はらのへったはなし) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.392 Zeichen · 3 Bildschirme
上陸しても、まだ陸地がゆらゆら揺れているような感じで、三十分や一時間は気分の悪いものである。だから少し時間はあったが、何も食べないで、汽車に乗り込んだ。そのことが私のその日の大空腹の原因となったのである。
蘇澳から台北まで、その頃、やはり十二時間近くかかったのではないかと思う。ローカル線だから、車も小さいし、速度も遅い。第一に困ったのは、弁当を売っているような駅がほとんどないのだ。
汽車に乗り込んで一時間も経った頃から、私はだんだん空腹に悩まされ始めてきた。それはそうだろう。前の日の昼飯(それも船酔いをおもんぱかって少量)を食っただけで、あとは何も食べていないし、それに中学二年というと食い盛りの頃だ。その上汽車の振動という腹へらしに絶好の条件がそなわっている。おなかがすかないわけがない。蘇澳で弁当を買って乗ればよかったと、気がついてももう遅い。
昼頃になって、私は眼がくらくらし始めた。停車するたびに、車窓から首を出すのだが、弁当売りの姿はどこにも見当らぬ。もう何を見ても、それが食い物に見えて、食いつきたくなってきた。海岸沿いを通る時、沖に亀山島という亀にそっくりの形の島があって、私はその島に対しても食慾を感じた。