Japanische Klassiker mit Furigana
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じじょでん
自叙伝
大杉 栄
Lesen Sie 自叙伝 (じじょでん) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.021 Zeichen · 230 Bildschirme
お母さんの方はまだそうでもないんですが、お父さんがそれやむずかしい方でね。本当に箸のあげ下ろしにもお小言なんだけれど、そんなことはまだ何でもないわ。私がちょっとうちを留守にすると、その間に私のお針箱から何やかまで引掻き廻して何か探すんですもの。私もうそれが何よりもつらいわ。」
「へえ、そんなことをするんかね。」
僕は驚いて彼女の顔を見た。彼女は黙ってうつむいていた。が、僕にはそれ以上何といって話していいのか分らなかった。僕も仕方なしに黙ってしまった。
道は川のそばだのあまり家のこんでいないところだのでずいぶん寂しかった。それでも二人はまたしばらく黙って、引っつき合って歩いて行った。
礼ちゃんはまた口を切って、東京での僕の学校の様子を聞いた。僕は去年の暮に、この礼ちゃんのためにだけでも偉い人間になって見せるとひそかに決心したことを思い出した。が、そんなことを話そうとも思わず、またよし思ったとしても話しすることはできずに、ただ礼ちゃんの聞くままに受け答えしていた。そしてとうとう礼ちゃんのうちのすぐ近くまで行った。
僕はもう帰ると言いだした。礼ちゃんはぜひちょっと寄って行けと引きとめた。